人口
住民基本台帳の人口は、2010年度の70,516人から2024年度の55,774人へ、14,742人(21%)減りました。震災の年に大きく減り、その後も毎年少しずつ減り続けています。
歳入と歳出の大きさ
震災前の歳出は年277.4億円ほどでした。震災後は復興事業で急増し、2015年度の1,357.1億円が最大です。2024年度は489.3億円で、震災前の約1.8倍の規模が続いています。
何に使ってきたか(目的別歳出)
震災直後は避難者支援などで民生費が膨らみ、その後は復興関連の事業を含む総務費と、農地の復旧・営農再開を含む農林水産業費が大きくなりました。教育費は震災前の水準に戻りきっていません。
福祉(高齢者・障がい・子ども・生活保護)
市役所の運営、復興関連の事業など
農業・林業・漁業、農地の整備
学校、図書館、スポーツ・文化
道路、河川、公園、住宅
商業・工業・観光、企業支援
震災前(2010年度)と直近(2024年度)を比べる
| 区分 | 2010年度 | 2024年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 総務費市役所の運営、復興関連の事業など | 35.9億円12.9% | 106.1億円21.7% | 3.0倍 |
| 民生費福祉(高齢者・障がい・子ども・生活保護) | 76.5億円27.6% | 103.4億円21.1% | 1.4倍 |
| 農林水産業費農業・林業・漁業、農地の整備 | 11.8億円4.3% | 75.2億円15.4% | 6.4倍 |
| 教育費学校、図書館、スポーツ・文化 | 40.1億円14.5% | 48.9億円10.0% | 1.2倍 |
| 衛生費健康、病院、ごみ処理、環境 | 19.1億円6.9% | 40.9億円8.4% | 2.1倍 |
| 商工費商業・工業・観光、企業支援 | 15.3億円5.5% | 33.4億円6.8% | 2.2倍 |
| 土木費道路、河川、公園、住宅 | 26.6億円9.6% | 31.4億円6.4% | 1.2倍 |
| 公債費借金(市債)の返済 | 36.5億円13.2% | 28.5億円5.8% | 0.8倍 |
| 消防費消防、救急、防災 | 9.8億円3.5% | 15.1億円3.1% | 1.5倍 |
| 災害復旧費災害で壊れた施設の復旧 | 0.4億円0.2% | 3億円0.6% | 7.0倍 |
| 議会費市議会の運営 | 2.3億円0.8% | 2.4億円0.5% | 1.0倍 |
| 労働費雇用対策 | 2.1億円0.7% | 0.9億円0.2% | 0.5倍 |
| 歳出合計 | 277.4億円 | 489.3億円 | 1.8倍 |
お金はどこから来たか(歳入の主な内訳)
市民や企業が納める地方税は、震災の年に大きく落ち込み、その後は震災前とほぼ同じ水準に戻っています。一方、国からの地方交付税と国庫支出金は震災後に大きく増え、今も震災前より多い水準です。市の財政は、震災前より国のお金に頼る割合が高くなっていると読めます。
均等割+所得割
財政の健全さ
借金(地方債)の残高は、2008年度の348.6億円から2024年度の246.8億円へ減っています。返済の重さを示す実質公債費比率も16.7%から8.4%へ下がり、将来負担比率は2013年度以降「算定されない」(将来の負担より貯金などのほうが多い)状態です。財政力指数(1に近いほど自前の税収で運営できる)は0.6前後で大きく変わっていません。経常収支比率(毎年決まって入るお金のうち、人件費や借金返済など決まって出ていくお金が占める割合。高いほど自由に使えるお金が少ない)は震災前の85%前後から、近年は94%前後に上がっています。
18%を超えると借金に許可が必要。低いほど返済が軽い
2013年度以降は算定なし(負担より資産が多い)
1に近いほど自前の税収で運営できる
高いほど、自由に使えるお金が少ない。2011年度は震災で税収が落ちたため一時的に100%超
近くの市と比べる(2024年度)
隣の相馬市と、県内で人口が3〜7万人の市(相馬市・伊達市・二本松市・白河市・須賀川市・田村市)を、人口1人あたりの金額で並べました。南相馬市は歳出も地方税も、借金の残高も、1人あたりで見ると同じ規模の市と比べて多めです。歳出が多いのは復興関連の事業が続いているためと考えられますが、人口が減るなかで、この規模をどう着地させるかが問われます。
- 南相馬市87.7
- 相馬市62.0
- 伊達市57.9
- 二本松市60.6
- 白河市58.2
- 須賀川市49.3
- 田村市79.9
- 南相馬市17.6
- 相馬市16.8
- 伊達市10.4
- 二本松市13.4
- 白河市17.2
- 須賀川市13.3
- 田村市12.1
- 南相馬市44.2
- 相馬市46.0
- 伊達市69.9
- 二本松市59.0
- 白河市59.6
- 須賀川市54.4
- 田村市52.0
- 南相馬市18.5
- 相馬市17.2
- 伊達市18.5
- 二本松市19.8
- 白河市17.6
- 須賀川市18.7
- 田村市18.9
- 南相馬市8.8
- 相馬市6.9
- 伊達市6.0
- 二本松市6.2
- 白河市6.8
- 須賀川市5.2
- 田村市6.3
- 南相馬市13.5
- 相馬市3.5
- 伊達市1.9
- 二本松市3.0
- 白河市4.2
- 須賀川市1.9
- 田村市7.6
- 南相馬市0.64
- 相馬市0.62
- 伊達市0.38
- 二本松市0.46
- 白河市0.62
- 須賀川市0.56
- 田村市0.35
1に近いほど自前の税収で運営できる
- 南相馬市94.0
- 相馬市92.8
- 伊達市91.8
- 二本松市98.0
- 白河市91.0
- 須賀川市101.2
- 田村市89.4
高いほど自由に使えるお金が少ない
- 南相馬市8.4
- 相馬市11.2
- 伊達市5.4
- 二本松市9.4
- 白河市8.3
- 須賀川市5.6
- 田村市8.8
点線:18%(借金に許可が必要になる目安)
人口は各市の住民基本台帳人口。財政力指数・経常収支比率・実質公債費比率は総務省「主要財政指標一覧」の値です。
資料に書かれていること
- 人口:2010年度 70,516人 → 2024年度 55,774人
- 歳出総額:2010年度 277.4億円 → 最大 2015年度 1,357.1億円 → 2024年度 489.3億円
- 地方税:2010年度 91.7億円 → 2011年度 29.6億円 → 2024年度 98.4億円
- 地方債現在高:2008年度 348.6億円 → 2024年度 246.8億円
- 実質公債費比率:2008年度 16.7% → 2024年度 8.4%
- 経常収支比率:2010年度 85.4% → 2024年度 94%
- 2024年度の1人あたり歳出:南相馬市 87.7万円、相馬市 62.0万円
まだ確かめたいこと
- 総務費・農林水産業費のうち、復興関連の事業がどれくらいを占め、今後どう減っていくのか
- 震災後に整備した施設の、毎年の運営費・修繕費と、将来の更新費用(公共施設等総合管理計画と照らし合わせる)
- 人口の内訳(年齢別、地区別)と、転入・転出の動き。決算カードには載っていないので、別の統計で補う
- 近くの市との差が、復興関連の事業によるものか、それ以外の構造的なものか(総務省の類似団体比較カードで、全国の同規模自治体とも比べる)
データと注意点
金額は総務省が公表している市町村決算カード(普通会計)↗から、年度ごとに各市の欄を抜き出したものです。財政力指数・経常収支比率・実質公債費比率・将来負担比率は主要財政指標一覧↗の値で、決算カードから読み取った値と全年度で一致することを確認しています。金額は千円単位の数値を億円に換算し、小数第1位までにしています。
人口
住民基本台帳人口です。年度によって基準日が1月1日または3月31日と異なります。国勢調査の人口とは別です。
普通会計
一般会計と一部の特別会計を合わせた、自治体を比べるための会計区分です。国民健康保険や下水道などの事業会計は含みません。
震災後の数字の見方
2011年度以降の歳出には、国から受けた復興関連の交付金を基金に積み立てたり、翌年度に繰り越したりした分が含まれます。金額の大きさがそのまま「その年に使ったお金」とは限りません。
比べる市の選び方
隣接する相馬市と、福島県内で人口が3〜7万人の市を選びました。人口1人あたりの金額は、その年度の住民基本台帳人口で割っています。復興事業の規模や地理条件が違うため、差の理由は一つずつ確かめる必要があります。
抜き出しの方法
PDFの決算カードから機械的に読み取っています。読み取りの誤りがあれば、元の決算カードを正とします。各年度の元資料は資料集から確認できるようにしていく予定です。