いま、課題と考えていること
震災後、南相馬市では復興のために多くの事業が行われ、施設も整備されてきました。その一つひとつには、当時必要とされた理由があります。一方で、施設や事業は、つくった後も運営する人と費用が必要です。いずれ修繕や更新の時期も来ます。市長の掲げてきた「100年のまちづくり」という軸はすばらしい考えですが、だからこそ新しくやることばかりではなく、今やっていることの整理や効率化も考えていく必要があります。
市には公共施設や財政に関する計画があります。しかし、市民が日々利用する施設について、「今は何にいくらかかり、10年後、30年後にはどうなるのか」「今の運営を続けるには何が必要か」が、暮らしに引きつけて十分に伝わっているとは感じられません。費用の事情が見えないままでは、市民も本当に必要なものや、より良い運営方法を考える議論に参加できません。
人口構造も変わっていきます。これまでと同じ使い方を続ける施設もあれば、別の使い方が求められる施設もあるはずです。将来の維持費を心配して何でも減らすのではなく、必要に応じて統合したり、商業施設や福祉施設を複合しながら経済を高める手段も取ることができます。そのためにも、まずは市の「お財布の事情」を正しく把握し、必要なことを市民と一緒に考えることが大切です。
提案・働きかけたいこと
施設や事業にかかる費用を、長い目で確かめる
建設費だけでなく、毎年の運営費、修繕費、将来の更新費用、担い手の見通しを確認します。復興期に始まった施設や事業についても、今後どのように続けていくのかを考えます。
市民に分かる形で共有する
計画書の数字を公表するだけでなく、施設を利用する人や地域にとって、費用と将来の選択肢が分かる説明を求めます。市全体の財政と、身近なサービスの関係を話し合えるようにします。
必要な機能から、運営方法を考える
「この建物を残すか」だけでなく、そこで行われている子育て、福祉、学び、交流などの機能を、将来もどう届けるかを考えます。運営の改善、複数の機能の組み合わせ、民間や地域団体との協力など、選択肢を比べます。
決めた後も結果を確かめる
費用だけを見て判断せず、利用者の満足度や、遠くなる地域への影響も確認します。人口や財政の見通しが変われば、計画も見直すよう働きかけます。
まず確かめたいこと
- 施設ごとの毎年の運営費、修繕費、将来の更新費用と担い手の見通し
- 復興期に始まった施設や事業を、今後どう続けていくか
- 市全体の財政と、身近なサービスの関係が市民に伝わっているか
- 統合や複合化、民間・地域団体との協力など、選べる方法の幅
目指すまちの姿
市民が「財政が厳しいから仕方ない」と突然告げられるのではなく、今あるものを続けるために何が必要か、新たに必要なものへどう力を振り向けるかを、早い段階から一緒に考えられるまちです。
お金の事情を知ることは、希望を諦めるためではありません。限られた資源を把握した上で、暮らしに本当に必要なことを選び、工夫して実現するためです。30年先にも、市民が必要なサービスを使い、この地域で暮らしたいと思えるよう、今から判断を重ねていきたいです。